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ダンベル体操で低栄養を予防する
(筋肉の減少を防ぎ、低栄養を予防する)
鈴木 正成(農学博士) |
加齢に伴う骨格筋の量や筋力の低下
人は誰でも年を重ねてくると身体を支える筋肉をつくる能力である「タンパク質合成力」が低下し、筋肉が著しく衰えることになります。このような加齢に伴う筋骨格の量や筋力の低下を「サルコペニア」(筋肉減弱症)といいます。加齢に伴い、体熱を多く発生する筋肉が細り弱くなると「基礎代謝」の低下を起こし、動きに機敏さがなくなったり、運動量も減少します。そうなると、食欲も低下し、その結果十分な栄養素が摂取されなくなり、低栄養状態になることで、また体タンパク質合成が低下するという「悪循環」を引き起こしてしまいます。中年以降の健康づくりでは、筋肉の量と筋力を低下させない生活習慣を取り入れる必要がです。
■対策1
体タンパク質の材料となる栄養素(タンパク質)を積極的に摂取する。
■対策2
体タンパク質合成を促進するためにレジスタンス運動を行う。
人間の身体は、タンパク質合成力の強い、中・高生時代に健康体のピークを迎えますが、タンパク質合成力が低下する中年期を迎える頃から健康度が低下し、肥満や生活習慣病に罹りやすくなります。この過程で顕著な変化をみせるのは筋肉の減量です。筋肉は、活動時だけではなく安静時においてもエネルギーを最も消費(体熱を多く産生)する組織です。中年期をむかえ筋肉が減量し、基礎代謝が低下すると、一日(24時間)のエネルギー消費量が減少し、血中のブドウ糖と脂肪の分解力が低下することで、中年肥満、高血糖、糖尿病、高脂血症、動脈硬化、心臓病、高血圧など、いわゆる生活習慣病に罹りやすくなります。
中年期を過ぎ熟年・高齢期に入ると体タンパク質合成力は一層低下し、基礎代謝の更なる低下をまねきます。それが食欲の減退、それに伴うタンパク質とエネルギーの摂取不足(低栄養)につながり体タンパク質の合成を悪化させるという悪循環を生み、その結果、筋肉減弱症(サルコペニア)に罹って身体は虚弱化し、骨も骨減弱症(オステオペニア)、更には骨粗鬆症(オステオポローシス)にいたり、骨折を起こして要介護生活に陥りやすくなるのです。したがって、中年以降の健康づくりには、体タンパク質合成を活発化し、筋肉づくりや骨ずづくりに効果的な「ダンベル体操」をお勧めします。
ダンベル体操は、軽量(0.5~3kg 程度)のダンベルを使って1日、15~20分間、全身の筋肉に収縮運動の刺激を与える様々な運動で構成されています。継続して行うことで、筋肉の減量を防ぎ、体タンパク質合成力を高め、基礎代謝を維持・向上させることで食欲を旺盛にし、低栄養の予防につながります。
高齢者には「玄米ニギニギ体操」がお勧めです。
玄米を詰めた布袋をダンベルの代わりに用いた
「玄米ニギニギ体操」は、高齢者にも安全で効果的な運動です。